おはようございます。クリプトトレーダーのナックルです。
ここ数日、CamelotがHotな話題です。それもそのはずで、早めの後乗りからでも+300%、底で買えていれば1ヶ月で10バーガーを達成したトークンだからです。
CamelotとはArbiturmのDEXなのですが、なぜここまでトークンの価格が高騰したのか。今回はその謎に迫ってみます。
他にも多くのDEXがある中でCamelotが持っている優位性、「Camelotのここがすごい!」というところを、考察も含めて解説を行っていきます。
かなり長くなってしまいましたが、気合いを入れて書いたので良ければ最後まで読んでみてください。
<目次>
プロトコルの立ち上げのパートナーとして最適
GMXを彷彿とさせるReal Yieldを指向したTokenomics
CamelotのBizDev力
欠点:AMMの設計が前時代的
前置き
Camelotの解説を行う前に、ArbitrumのDEXの状況をさらっと解説しておく。
Arbitrumにはすでに、Ethereumの主要なDEXである、Uniswap、SushiSwap、Curve、Balancerがいる。その一方で、BSCにおけるPancakeSwapやAvalancheにおけるTraderJoeのような存在の、市民権を得ているネイティブDEXは存在していなかった。
「EthereumのLayer2なんだから、EthereumのDEXがあればいいよね」
そう思っていたところに、一気に市民権を得たネイティブDEXが出てきた。それがCamelotである。
この勢いのまま、ArbitrumのネイティブDEXの覇権として成り上がるのか…。それとも一時のブームとして終わってしまうのか…。
今回は、UniswapやSushiSwapでは出せない「Camelotのここがすごい!」というところに焦点を当てて解説していく。
1. プロトコルの立ち上げのパートナーとして最適
Arbiturmで新しいプロトコルを立ち上げるとき、そのプロトコルのトークンの流動性を引きつけるためのより良い機能をCamelotは持っている。
流動性を提供して報酬をもらうYield Farmingの方法は大きく分けて2種類あり、ひとつは伝統的な「Yield Farms」で、もうひとつはカスタマイズ性の高い「Nitro Pools」がある。
Yield Farms
こちらは、SushiSwapやPancakeSwapを代表とする伝統的なYield Farming。LPトークンを預けることでCamelotのトークン$GRAILがもらえる。
ちなみに、$xGRAILがもらえたり、APRがブーストされている様子が見えると思うが、これらは次の項で解説する。
Nitro Pools
このNitro Poolsが、よりカスタマイズ性の高い流動性のインセンティブを設定でき、「プロトコルのトークンの流動性を引きつけるためのより良い機能」と上述した部分のひとつである。
カスタマイズはプール作成者(プロトコル側)が行い、カスタマイズできる部分はいくつかある。その中でも特筆すべき部分は、LPに時間のロックをかけられる、というところ。そしてそのプールへの報酬をプロトコルが自由に設定できる、というところ。
プロトコル側にとっては、LPにロックをかけてもらうことで流動性がより安定するメリットがある。ユーザー側にとっては、ロックの代償として追加の報酬を受け取れるメリットがある。Win-Winの関係ということですね。
ちなみにこのNitro Poolsへの入金方法は、LPトークンを「Stake Posion NFT(spNFT)」にWrappすることによって行われる。
あまり難しく考えなくても良さそうだとは思うけど、行く行くは担保利用といったComposabilityを考えての設計と思われる。
Launchpad
新規プロトコルのサポートとなり得るDEXは、Launchpadの役割を持つことと相性が良い。PancakeSwapやTraderJoeもそうしているように。
上述したように、Camelotは新規プロトコルのトークンの流動性を引きつけられる仕組みを持っているので、Camelotでトークンをローンチさせたいプロジェクトが増えてきている。
すでに、
Neutra Finance (@Neutrafinance):GLP運用系
Vela Exchange (@vela_exchange):高機能Perpetual DEX
がトークンのローンチを成功させている。
特にVela Exchangeのローンチの成功が、Camelotが注目を浴びるきっかけとなったように思う。
Camelotでトークンをローンチさせるプロトコルが今後も予定されており、
Nitro Cartel (@nitrocartel):インデックス系
Factor (@FactorDAO):アセットマネジメント系
D-Squared Finance (@Dsquaredfinance):Option Vaultや仕組み商品系
Halls Of Olympia (@HallsofOlympia):ゲーム
Laxer Protocol (@LexerMarkets):Perpetual DEX
JustBet (@JustBetOfficial):ギャンブル
Perpy (@PerpyFinance):コピートレード
Onchain Trade (@OnchainTrade):Perpetual DEX
と、盛り沢山。
このように、Camelotとは「Arbitrumにおける新規プロトコルの立ち上げのパートナー」のポジションを勝ち取ったのである。今のところはそう思える。
2. GMXを彷彿とさせるReal Yieldを指向したTokenomics
GMXのTokenomicsの主な特徴として、
Real Yield:$GMX Stakerに対して、手数料のシェア
Escrowed:Curveを代表とするveTokenのロックモデルではなく、報酬として受け取ったトークンに権利確定期間を設けるモデル(なぜEscrowedという名前がついているのかはわからない)
の2つがある。
Camelotの$GRAILは$GMXとは違うモデルなのだけれど、この2つの特徴を踏襲したモデルとなっている。
権利確定期間あり
Camelotのトークンには$GRAILと$xGRAILがある。この$xGRAILはどちらかというと$esGMXに似ている。
$GRAILを$xGRAILにコンバートすることによって、様々な特典を受けられるのだけれど、ひとつ注意点がある。それは、$xGRAILを$GRAILに戻して売れるようにするには、Redeemのトランザクションを通してから一定の期間待つ必要がある。権利確定期間があるということ。
その権利確定期間は、最短で15日、最長で6ヶ月となる。
そして更にもうひとつ注意点。最長の6ヶ月をかけて権利を確定させると1:1で$GRAILを受け取れるのだが、最短の15日に設定すると半分しか受け取れない。権利確定期間と受け取れる$GRAILの量は線形的に変化するので、例えば権利確定期間を3ヶ月に設定したら、だいたい75%くらい受け取れる。
Real Yield指向
$xGRAILを持っていることによって様々な特典を受けられる。
手数料のシェア
Yield FarmingのAPRのブースト
Launchpad
Gauges:Coming Soon
自身が保有している$xGRAILをどれかに、あるいは分散して割り当てることによって特典を受けられる。
特に手数料のシェアについて深堀っていこうと思う。
手数料のシェア
Camelotの取引手数料は、そのプールを作成したプロトコルが自由にカスタマイズできる。例えば、「手数料0.1%の$GRAIL-$USDCプール」と「手数料0.3%の$GRAIL-$USDCプール」を用意することも可能。
他には、「買い」と「売り」の手数料を変えることもできる。例えば「買いの手数料は0.3%、売りの手数料は1%の$GRAIL-$USDCプール」を作成できる。
そしてこのように徴収された手数料は、以下のように配分される。
手数料のシェアに配分される分は22.5%となる。
以上のことから、取引ボリュームから$xGRAILへの分配金が見積もれる。
取引手数料は0.3%でざっくり見積もって、
取引ボリューム × 0.3% × 22.5% =分配金
1週間当たりの取引ボリュームから見積もると、
$96.5M × 0.3% × 22.5% = $65,000
そんなにずれていない。
現状の取引ボリュームが維持されることを前提とすると、年間の手数料シェアの金額は、だいたい$3.4Mとなる。GMXはざっくり年間$36Mと推計できるので、手数料シェアの部分だけで比較するとGMXの1/10の規模と考えられる。
もちろん、GMXとCamelotではプロトコルの種類が異なるし、トークンの排出量も全然違うので、単純に1/10と考えてはいけない。
上述してきたように、$GRAILトークンに手数料のシェアといったReal Yieldを指向したUtilityを持たせることによって、DEX特有のフライホイール効果を引き起こすことに成功した。
DEX特有のフライホイール効果というのは、以下のような感じ。
トークンの価値が高まる
→Yield FarmingのAPRが上がる
→深い流動性を持つ
→スプレッドが良くなり、取引ボリュームが上がる
→トークンの価値が高まる
(以下、繰り返し)
Curveを代表とする排出のあるDEXがポンジノミクスと呼ばれる理由だね。
DEXの99.9%はこのフライホイール効果の逆回転が起きて、トークンが電子ゴミと化してしまう。新台魔界Farmを渡り歩いてきた方のほうがお詳しいと思うが、そうならないように多くの新台Farmが実験を繰り返してきた。
このCamelotもそうならないように、売り圧を抑制する仕組みを持っている。
報酬に権利確定期間あり
CamelotのYield Farmingの報酬は、プールによって若干異なるもののデフォルトでは、「$GRAIL 20%/$xGRAIL 80%」となっている。報酬の80%には6ヶ月のロックがかかっているようなもの。DeFi Kingdomsみたいだねw
この仕組みにより、短期的な傭兵的なYield Farmerを遠ざけ売り圧を抑制し、長期的にプロジェクトにコミットしてくれる人を惹きつける。
トークンのDistributionは以下の通り。
Core Contributorsの線形的な売り圧はちょっと気になるが、$xGRAILでの排出が大部分を占めており、短期的な売り圧は比較的小さい。言い換えると、6ヶ月後の2023年5月〜6月あたりは大量の$xGRAILの権利確定があり、要注意かもしれない。
Tokenomicsに関する深堀りはこれくらい。
ここまでで書けなかったTokenomics関するその他の特記事項があるので、以下に記載しておく。
分配金は、排出としての$xGRAILと、手数料シェアとしてのETH-USDC LPトークンがもらえる
何かの特典に割り当てた$xGRAILを引き出すときには0.5%のFeeがかかる
$xGRAILから$GRAILに戻す権利確定の期間、手数料のシェアの50%分だけ受け取れる
取引手数料の12.5%と権利確定期間の短縮によるペナルティ分はBuyback & Burnに充てられる
3. CamelotのBizDev力
さて、ここまで読んでいただいてそう感じた方もいらっしゃるかもしれないが、Camelotは「Tokenomicsなどをごちゃごちゃいじって複雑な仕組みにした新台魔界Farm」にしか見えない。
私自身ローンチ前からCamelotのことは知っており、盛り上がる前に2回も調べたが、「なんやただの新台魔界Farmやないか」としか思えず、スルーしてしまった…。改めて、自分の銘柄選定センスが欠如していることに絶望する…。
現状成功しているように見えるCamelotだが、この成功は「このTokenomicsを持ったDEXだから」というだけでは引き起こせなかったように思う。
Camelotの成功の大きな要因は「強力なパートナーシップを結べるBizDev力」にある。
上述したように、多くの新規プロトコルがCamelotでの立ち上げを計画している。そしてそれだけでなく、いくつかの既存のプロトコルも流動性をCamelotに移行させることを考えている。
Plutus(ArbitrumのConvex)
JonesDAO(Option Vault)
JonesDAOとCamelotはTresury Swapも実施している
Liquity(ステーブルコイン)
Abracadabra(ステーブルコイン)
開発者が何か考えているっぽい
他にもいくつかあるけれど、公式側からの言及をみつけられたもののみ載せた。
そしてArbitrumのCMOであるAndrew Saunders氏もCamelotについて言及した。
今後も既存のプロトコルとの更なるパートナーシップを結んでいけるのか。
特にArbitrumでの時価総額$100M越えのトッププロトコルである、
GMX
TresureDAO
Dopex
Gains Network
とどのように良好な関係を結んでいけるのか。
あるいはEthereumのOGプロトコルと関わっていくことができるのか。
このあたりはCamelotのBizDev力次第であり、Camelotの成長を評価するうえで注目のポイントとなりそう。
4. 欠点:AMMの設計が前時代的
さてここまで、Camelotの特徴を踏まえたうえで、「Camelotのここがすごい!」という話をしてきたけど、Camelotには大きな欠点もある。
それは、AMMの設計が前時代的だということ。
CamelotのAMMはデュアルAMM設計。
Volatile Swap:Uniswap v2の「x*y=k」
Stable Swap:「x*y^3 + y*x^3 = k」(どこのだったっけ?)
Uniswap v3を始め、KyberSwap、PancakeSwap、TraderJoeなど、各チェーンの主要DEXは資本効率の高い集中流動性のAMMのリリースを進めている。
VelodromeやThena、Equalizerなど、取引手数料を限界まで下げたSolidlyのフォークも活躍している。
そんな熾烈な争いが繰り広げられている中で、前時代的なAMMの設計のままで競争力を保っていけるのか。この点に関しては非常に懐疑的である。
FOMOらないで!
Arbitrumネイティブな覇権DEXが誕生した瞬間だった可能性があり、DeFi大好きな私としてこの話題に触れない訳にはいかなかったので、考察も含めてCamelotの解説を行わせていただきました。
私自身は後乗りのホルダーであり、このような記事を書くくらいまだまだ強気な姿勢でいるけれど、こんなチャートになった後で買うのは正直恐いです。
この解説記事を読んだことで感情的になって焦って買うことだけは避けてください。各々でデューデリジェンスを行って、まだ上昇が期待できそうなのかどうかをじっくり検討してください。
Cryptoはこういったチャンスが毎日どこかしらに転がっているので、Camelotはスルーして次のチャンスを探すというのも有効な戦略だと思います。
CamelotがArbitrumの中でどこまでの地位まで上り詰めるのか、ホルダーであってもそうじゃなくても、注目していきたいですね。
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました!
こちらのコンテンツは情報共有のみを目的としており、投資に関するアドバイスではございません。CryptoやDeFiは非常にリスクが高いため、投資を行う前には必ずご自身で調査を行ってください。